7 ニューロ・ロジカル・レベルの統一
〜リアルに即した自分の企画書を書こう メタ認知の特訓・B〜

 これら3つの記事は、NLP(神経言語プログラミング)という少し難しい臨床心理学のテクニックを応用しています。

 この記事を読む前提として、
静座瞑想(リンク先は『マインドフルネス・トレーニング スキルガイド』トップ)を、
 『一日10分はできる、あるいは二週間以上チャレンジし続けている』
 という状態を求めます。

 気負わずとも、「静座瞑想」を極めれば、紙とペン無しでこのバカ長い記事の内容ができるようになります
 安心してください。

 どうしても、
被害妄想に陥っている気がするけど、ロジックで治したい
性格のせいで損しまくっている気がするので、精神論でない根性論でやれる方法で何とかしたい
非合理的な思いこみ』や『アサーション権宣言』の記事を見て、
 『ああ、自分だ。変わりたい。言葉の力で
 と強く願う

 と言う方だけ、読み進めてください。
 するならば、老婆心として、青と赤だけ抜き出しつつ、がんばってください。



 現実とは、厳しいものです。
 うまくいかないことがあって、いらいらしたり、失意に陥ったりしますし、フラストレーションはとかくたまるものです。

「人生に求めるんじゃない、人生に何を求められているかを考えるんだ」
 と、ロゴセラピーかつ三つの価値で有名なフランクルは言いました。

 ついでにフランクルさんは、
「神経症のかなりの患者が、自らが持つ高すぎる理想と、ただそこにある現実のはざまに勝手に幻滅し、自分を傷つけている」
 といったドSな趣旨のことを同じ本に書いてる
のですが、そういう「医者の本音」は、専門書をネタ本として読み進めていく解説サイトの人間が面白おかしく紹介すればよいのです。

 この、「人生に何を求められているか」ということについて、小説「パイの物語」のパイ・パテルのように自分一人だけで生きていかねばらならない人間でも必死に考えて生きていくのですから、周囲の人間と生きていく私たちが、考えて損をしないことはないでしょう。

 ちょうど、NLPに「ニューロ・ロジカル・レベルの統一」という「『人生から自分に出されている提案』を具体的に順々に考えていく方法」がNLPにあったので、それをご紹介します。

 まず、ニューロ・ロジカル・レベルとは、「知覚の、入ってきた情報を脳内で処理するレベル」のことです。
 全体に対する定義を語ってもわかりにくいので、
「上のレベルから下のレベルは変えやすいが、下のレベルから上のレベルを考えた方が行動改善的に現実的なものが出てくる」
 という一般論だけ語って、具体的なものを見ていきましょう。




■ニューロ・ロジカル・レベル

・環境レベル LV1
 自分をとりまく周囲の状況。
 そばにいる人や、視界に入るものや耳に入るもの、シチュエーションなどの外的一次情報。
 5W1Hでいったら、「When?」と「Where?」に相当。
 RPGで言ったら、場面の場所と、そこにある人々やもの、イベントなど。

・行動レベル LV2
 自分のとっている行動。積極的・受動的・リアクションを問わずここに含まれる。
 5W1Hでいったら、「What?」に相当。
 RPGで言ったら、村人の家に訪ねて、住人とのんびり会話に興ずるも、タンスの中身をあさるのもあなた次第。

・能力レベル LV3
 特定の行動をするのに適したスキルや資質・能力のこと。「やりかたの工夫や知識」もここに入る。
 5W1Hでいったら、「How?」に相当。
 RPGで言ったら、論理力にたけているプレイヤーが推理で一発で犯人を当てるのも、戦闘能力にたけているプレイヤーが凶悪なモンスターを屠るのも能力。

・信念・価値観レベル LV4
 自分の持っている考え方のフレームワークこと、スキーマ・信念のこと。
 5W1Hでいったら、「Why?」に相当。
 NLP上級スキルである「メタ・モデルの質問」はここを突くので、変えていくのはなかなか難しいレベル。

・自己認識レベル LV5
「自分は何者か」という、人間ひとりのジョブやクラス、肩書き、家庭内の役割を指す。
 5W1Hで言ったら、固有名詞を返さない「Who?」に相当。
 RPGで言ったら、「敏腕な冒険者」や、「駆け出しの戦士」に相当し、ネガティブな形容詞がつくと厄介。

・スピリチュアルレベル LV6(MAX)
 個人レベルではなく、「世界や周囲とのつながり」をもった、絆を含むアイデンティティのこと。
 5W1Hで言ったら、「For Whom?」「For What?」に相当。
 肯定的なこれが持てるとかなり落ち着くが、その前に微積チックに、自分自身を単体で肯定してあげることが大事。

 よくわからないかもしれませんが、次の「ニューロ・ロジカル・レベルの統一」をやってみればわかるので、その際の参考資料になる今回のノートを用意しました。


(リンク先、スカイドライブです。)




■「ニューロ・ロジカル・レベルの統一」


−1 ノートを印刷して、ルーズリーフに、次の罫線を引きます。

        
スピリチュアルレベル:as if
自己認識:before
自己認識:after
信念・価値:before
信念・価値:after
能力:before
能力:after
行動:before
行動:after
環境:before
環境:after


 言葉に直すと、ルーズリーフに、
「一番上の二つのセルをつなげた、1行+5行×2列のテーブルライン」
 を引き、各行に、上から、「スピリチュアル」、「自己認識」、「信念・価値観」、「能力」、「行動」、「環境」と振ります。
 各列は左を「before」、右を「after」とします。一番上は、しいて言うなら「as if」
です。

0 自分が最近特に困っている「他人とかかわる問題」について別の紙で考えて、「そのときは、今度は、こうできないのではなく、こうしたいなぁ」というアウトカムこと目標を書きだし、ルーズリーフの「タイトル」にします。
 次から、現状を左側の列に書き込んでいくことで考えていきます。

1 環境レベルについて、周囲をじっくりと、かつ淡々と見つめ直します。
 このとき、アウトカムのためのリソース(活用できそうなもの・人・スキル)があれば、メモします。

2 行動レベルについて、アウトカムに関して、「自分は今、何をしているのか」、「アウトカムのために自分は何をする必要があるのか」を考えます。
 このとき、思いついたものならば、よいものも悪いものもメモします。

3 能力レベルについて、アウトカム達成を前提に、「自分のスキル的なリソース」や、「身につけるべき能力」について考えます。
 現実は厳しくても、あとで取捨選択するので、とにかく機械的に書き並べるようにしていきます。

4 信念・価値レベルについて、アウトカムに関して、「自分は今、こう思っている」「なぜなら、こう思うから」ということをメモします。
 深く考えず、正直になって、思いついたことは全部メモしていくようにしましょう。

5 自己認識のレベルで、アウトカム達成に関して、「自分の役割や使命は何か」と自分に問いかけて、「その答え」と、「それに対する率直な感想」を書いていきましょう。
 簡単に、ささっとで構いません。

6 スピリチュアルレベルで、くったりと心を安らげ、自分の存在を認めてあげましょう。
 そして、「自分を超えた存在」(というと宗教チックなので、「世界との一体感」、「世界から許されている感覚」)を感じてください。
 次に、心の中で、「受け入れられた自分」で問題の状況に関して、アウトカムを達成してみてください。
 そこで思ったことに関して、詳細に描写してください。

 これが無理だと思った場合で睡眠時間が5時間以下ならば、まずは、眠ってください。
 心の余裕は、しゃんと起きた身体から、です。

 そして、下の段階を順々とチェックしていきます。

7 自己認識のレベルに戻って、「自分は片意地をはり過ぎていないか」「本筋から使命感がずれた方向へ暴走していないか」「意地悪な考え方を自分に対してしていないか」の3点をチェックしてください。
 気になる点があったら、「許された自分」にとって、納得がいくように右に書きなおします。

8 信念・価値観レベルに戻って、「許された自分から見ると、非合理なもの・意地悪なものはないか」ということを、「アサーティブ権宣言」を見ながらチェックします。
 右側には、ゆっくりした気分で、優しい言葉を自分自身に書いてあげるようにします。

9 能力レベルに戻って、「この能力で何とかなるんじゃないか」「これは見栄を張り過ぎだろう」といったことを考えます。

10 行動レベルに戻って、「用いる能力から考えると、これができる」といった行動を左から見出して、右へ書き写します。
 能力レベルのリソースから考えて無理なことは、自分には出来ないと素直に認めてもよいのです。

11 環境レベルにふりかえって、「行動レベルのライフハック(生活をよくする習慣)を適用したら、自分はどう変わってしまうのか」とにやにやします。
 その微笑ましい、小さいかもしれないけれど、大きな変化を、右側に簡潔に、しかし、心を込めて書き綴ってください。

 そして、週に1〜2回ほどやり直し、そのルーズリーフをバインダーなどに蓄積していってください。

 ちなみに、
「Lv1〜Lv5について、毎日、思いついたものについて片っ端から、『メタ・モデルの質問』でつっこんでいく」
 というのが、「メタ認知の特訓・A」(メタ・モデルの質問と日記をつける習慣)
です。

 好みのほうを選んで、行うようにしてください。


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